賈充は非常に人間臭い人物である。
このような人はいないだろうか。
強い劣等感を持って歯を食いしばりながら、
我慢をし嫌な仕事をして上長にも嫌な顔をせずに
従う。
とはいえ、元々能力があるので、
高い実績を挙げることができ昇進する。
しかしながら、昇進し自分自身が満足のいくポジションについた途端、
ここから陥落してしまうのではないかと強い不安を持つこととなる。
それはその人の自信のなさの表れである。
これは実はその人の能力の有る無しに関わりがない。
一言で言えばそれは性格である。
生い立ち、キャリアから成り立つ性格であるので、
簡単には治せない。歴史的なものである。
能力があるとかないとかは関係がないのだ。
あろうがなかろうが、その人は不安に苛まれる。
そうなると、他人を攻撃し始める。
下から這い上がってくる人物が全てが敵に見えてくる。
自分のように上を最終的には排撃し、引き摺り下ろすのではないか。
ちょっとでもこちらに敵意を見せてきたり、
敵意はなくとも才能が非常に高かったり、
名声を得ていたりすると、とにかく排撃する。
それは嫉妬にも似ている。
才能が高く、名声がある人物を嫉妬し、
自分の持つ劣等感が惹起され、
そこから逃れるためにその人物の足を引っ張ろうとする。
まさにこのような人物こそ賈充のことだと私は考える。
そして賈充が恐れ、嫉妬し、引き摺り下ろそうとしていたのは羊祜である。